日本財団 図書館


 

今後の県は情報提供やネットワーク機能などの役割を担う「ブレーン・サービス・センター」であるべきだとしている10)。また、広島県知事時代の宮沢弘氏も、府県の「市町村の連合体的な性格」を強調し、府県の機能として自治法上の4つの機能のほかに「市町村が仕事がし易いような環境づくり」を挙げ、技術、情報、人材の提供を例示した11)
(e)成熟した統治主体論(デモクラシー拠点論)
府県が政治的に成熟した統治主体となってきたことを評価し、わが国のデモクラシー支える拠点となってきたとする議論である。新藤宗幸氏は、戦後「官」の支配体系としての性格を払拭していなかった府県が、市民の成熟に支えられた政治リーダーによってしなやかな弾力性を与えられ、政治的に成熟した統治単位となってきたとし、日本のガヴァナビリティを支えるうえでも、府県を単位とした分権型社会への改革が求められているとする12)。完全自治体論を基礎としながら、その政治的意味を追究した議論といえよう。
(f)高次団体的性格論
府県が、広域団体的性格だけでなく、高次団体的性格を有していることを指摘する議論である。辻山幸宣氏は、府県には市役所的性格、広域団体的性格、市町村連合的性格とともに、高次団体的性格があるという。ここで「高次団体的性格」とは、市町村に比して中央政府に近く、より全国的政策の担任が期待されるとともに(垂直的政府間関係における高次性)、権限、財源、人材、技術などの行政資源においても、より高次の能力が予定されている(行政資源における高次性)ことをいう。この性格は、市町村自治との関係でデリケートなものがあるが、この性格を有しているがゆえに、府県は自治体としては対等であるべき市町村に対して連絡調整を行うことができ、また先導的機能や高度技術機能を発揮することが期待されているのだという13)
(3)府県の機能に関する議論
地方自治法第2条は、府県について「市町村を包括する地方公共団体」とし、?@広域的事務、?A統一的事務、?B連絡調整事務、?C補完的事務の4つの事務を持つものと定めて、具体例を列挙している(第6項)。この4つの事務区分に対する議論をみた後に、新たな機能として提案されているものについて紹介する。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION